通販レコードのご案内こんなに均整のとれた演奏は、そう滅多に聴けるものではない。
《170g重量盤, 最初期スタンパー》JP 東芝音楽工業 AA8316 ワルター・ギーゼキング ベートーヴェン三大ソナタ集「悲愴」「月光」「熱情」 ギーゼキングは、死去から半世紀を迎えた今なお、伝説のピアニストとして語り継がれてギーゼキングのレコードは何度も回を重ねて発売され、今尚倒産の危機に瀕していたEMIの屋台裏を支えてたと言っても過言で無いのではと思えるほど。最早、貴重な文化財という側面を持っているのではと接しています。ギーゼキングの演奏はそのしっかりとした古典的な造形や盤石な楽曲の構築、そしてヴィルトオージティに裏打ちされた艶のある陰影を醸し出す美音等が特色ですが、本盤の演奏にも見事にこのことが当てはまります。本盤は、聴けばギーゼキングの演奏は曲の分析力が明晰で、当時の拙い録音にもかかわらず、ニュアンスに富んだ繊細な音色と、多彩な表情の変化が如実に聴き取れる。その上、演奏技巧に欠点がない。曲の解釈においても迷いが無く、凄い速さで押し切る気分爽快の快演。ギーゼキングのピアノ書法は、卓越した演奏技巧により、いささかの曖昧さも残さずベートーヴェンを完全にリアライズする。
通販レコード詳細・コンディション、価格
プロダクト
- レコード番号
- AA8316
- 作曲家
- ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
- 演奏者
- ヴァルター・ギーゼキング
- 録音種別
- STEREO
販売レコードのカバー、レーベル写真
コンディション
- ジャケット状態
- M-
- レコード状態
- M-
- 製盤国
- JP(日本)盤
通販レコード
オーダーは | 品番 / 34-25339 |
販売価格 | 2,200円(税込) |
ドビュッシーやラヴェルのピアノ曲では、ギーゼキングの演奏は曲の分析力が明晰であったことで、当時のつたないSPレコード初期のアコースティック録音にもかかわらず、ニュアンスに富んだ繊細な音色と多彩な表情の変化に満ちている。ドビュッシーやラヴェルといった、繊細な音楽がよく聴き取れるレコードとなっていた。こうした特長のために、学習者の模範として使われてきただけでなく、後世のピアニストからはドビュッシーやラヴェル演奏の完成者として、到達目標として仰がれたのである。
ギーゼキングが生涯で最後にピアノを弾いた遺言代わりの録音
享年60歳は、早過ぎる晩年だと言えます。ギーゼキングはレパートリーが広く、スカルラッティやバッハから、20世紀の作品まで、北欧から南欧各国の音楽に及ぶ多彩さ。モーツァルト、ラヴェル、ドビュッシーのピアノ作品全集の録音で、モノラル録音でもありながらギーゼキングはカタログから落ちることはなく、常に入手できるし、未だにその高い評価は変わらない。
ギーゼキングは本能的で直感的なピアニストであると言われ、自ら意識して練習したことはなかった。但し譜面を検討し、その演奏をイメージしてから曲を完璧に弾きこなすのが常であった。そのため、ひとたび楽譜に夢中になると何時間も沈黙して過ごす習慣があり、かわりに夫人がむやみとストレスを溜め込んだほど。しかし、初見力にも優れていたところから、演奏法ではなく練習法に長けていた。楽曲を探求するのではなく、指回りの良さがレパートリーの広さに結びつくのでしょう。ちょうどEMIがモノラルからステレオへの移行期ということもあり、戦前から高名で巨匠クラスのピアニストなかで年齢的に若く、まだまだ活躍してピアノ曲のすべてのレパートリー制覇もしてくれると期待していたでしょう。もとを取りたくて発売を続けたのではないでしょう。
ギーゼキングは慎重190cm、体重100㎏ほどの巨漢だった。フォルティッシモの爆発力は、それ相応に凄く、それ以上に、その体躯からは想像の出来ない繊細なピアニッシモのコントロールの巧みさは、音の混濁が極めて少ないことが特徴として表れています。ラヴェルやドビュッシーの評判の良さでわかります。その巨体にもかかわらず、ギーゼキングは菜食主義者として知られてますが、そんな彼が年長のバックハウス、ルービンシュタン、エトヴィン・フィッシャーよりも先に亡くなってしまいます。それが、いよいよ満を持してEMIにベートーヴェンのピアノ・ソナタの全曲録音を行っている最中でした。
ギーゼキングはレパートリーは広い音楽家でしたが、ベートーヴェンはギーゼキングにとっての終生のレパートリーの中核を成し、ピアニストとしてのデビューは、ハノーファーでのピアノ・ソナタ全集演奏会でしたし、既に1930年代から幾つかのソナタと協奏曲は録音をしています。1956年10月22日のセッションでソナタ第14番の「月光」の録音を終え、ソナタ第15番の「田園」の第3楽章で、猛烈な腹痛を起こし中断。急性膵炎と診断され、急遽行われた手術は成功したものの、術後の経過が悪く、4日後の1956年10月26日に息を引き取ります。
この一年前、1955年の秋に乗っていたバスが事故を起こし、夫人を喪い、ギーゼキング自身も重傷を負いますが、翌1956年には復帰。春の米国ツアーで大成功を収めた後、9月からロンドンに乗り込み、EMIのアビーロードスタジオで集中的に録音活動に入ります。9月中旬には、ベートーヴェンの初期のソナタ群を。下旬にはグリーグの抒情小曲集、メンデルスゾーンの無言歌集の一部を録音。その間に、BBCへのフランスものの録音を済ませると、10月半ばに再びアビーロードのスタジオに戻り、スクリャービン、タンスマン、シューマン、ショパンと全く脈絡の感じられない作曲家たちの作品を録音したあとで、そしてベートーヴェンのソナタとなりました。驚かされる録音スケジュールの過密さとレパートリーの幅広さ。9月だと、日本ではお彼岸ですが、10月末のハロウィーンで夫人が待っていたのでしょうか。
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