傍らにあるのはデスマスク!? ガラスケースの中に2つのデスマスクが収めてありますが、1つはワグナーだとすぐに分かったけれども、もう一方はブラームス?チャイコフスキー? 写真はピアノに向かっているトスカニーニ。夕べ放送されたトスカニーニのラスト・コンサートの放送が、1950年代に最初にオン・エアされた通りに再現されて放送されていましたね。そこで指揮者としてではなくて、作曲家トスカニーニとしてピアノに向かって曲を描いているシーンが放送された時にはデスマスクが脇にあったのには気がつきませんでした。
この部屋にはもうひとつ。ベートーヴェンのデスマスクもあるという事です。
トスカニーニのラスト・コンサートは、昨今の事前に支度されていた引退演奏会ではありません。場所もいつものようにラジオ放送の録音中の出来事でした。プログラムはお得意のワグナー。その指揮中に有名な長い指揮棒が止まって先へ進まなくなってしまいました。凡人ならば一時的にど忘れしたとでも薦めているところでしょうけれども、コンサートでたくさんの聴衆を前に同じ失態が起こっては申し訳ないからと思ったのでしょうかね、さっさと指揮台を去るとこれが最後の演奏会となりました。
トスカニーニが17歳で指揮者になる切っ掛けというのが、トスカニーニがチェロ奏者としてオペラの上演に加わっていた時に指揮者が突然に急病で倒れます。オペラの上演を続けるために、楽譜や舞台進行を諳んじていたトスカニーニが急きょ指揮台に押し出されて功績が評価されて正式な指揮者と出世したのでした。きっと、その時の光景が過ぎったのかも知れません。そんなのたいしたことじゃないだろうと、オペラ上演の出来事をあまり知らない人は思うかも知れない。でも、同じような経緯で「あるオペラ」の上演中に心臓発作で死亡した指揮者の代役で一躍脚光をあびることになったシノーポリが、数十年後に同じ劇場で「あるオペラ」の上演中に同じ場所で心臓発作で倒れています。ブルース・リー伝説のような魂の縛りというものは、様々な人の思いが天井裏にたむろしているオペラ座には起こり得るのです。
曲はヨハン・シュトラウス作曲 ワルツ「美しき青きドナウ」
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮、NBC交響楽団 1941年の録音と思われます。SP盤(V-Disk 151A、V-Disk 151B)両面。片面、片面では無しに繋げましたが、4分過ぎで面替わりは聞いてわかるでしょう。前半はレコードのコンディションは良いのですが後半の終わりの方で周期的なプチプチ音が何度かあります。クライマックスの部分だけ何度か聞かれたのでしょうか。
さて、ワグナーと並んで収めてあるデスマスクですが、ヴェルディのものでした。寝かせてあるのでちょっと気がつきませんでした。