どちらも同じヴァイオリニストであるとは、聞けばすぐに分かるぐらい。40年近い開きはあるので1991年のコンチェルトでは多少張りにかけるヴァイオリンの響きでしたが、そのヴァイオリンの歌い方は同じでした。これだけ性格の出ているヴァイオリニストは特別でしょう。プログラムの中間のリサイタルの音はとても良くて、60年も前の録音だとは驚きです。そして、レコードとライヴがこれほど相違がないことも人気の程が感じられました。
僕は全世界を抱きしめるだろうに!
ベートーヴェンの耳の病は、話が聞き取れないで筆談をしてる相手の後ろでピアノを弾いていた弟子に、「そこはおかしい」と注意したと言います。対話をしようとしていた相手は気分を害したことでしょう。また、ピアノに噛み付いて音を聞いていたと言うから居合わせた人はとんでもないのを見てしまったと怖がったことでしょう。
僕の生活は今までよりも優しみのあるものになった – 快癒への望みを込めて書き上げられたヴァイオリン音楽の大名作。
幸福感に満ちた明るい曲想から《春》という愛称は、新緑の鮮やかさや頬を撫でる春風の心地よさがよく表現されていて、誰しも同じ気持を感じるでしょう。この時代も国も超えた感動の共有はベートーヴェンの音楽のもっともたるところ。
僕の生活は今までよりも優しみのあるものになった。この時、彼は《不滅の恋人》を思っていた。快癒への望みを込めて書き上げられたヴァイオリン音楽の大名作。
春風駘蕩が支配したアレキサンダーソナタ第1番
春風駘蕩が終始統一されている。しっとりと落ち着いた楽想が印象的な、隠れたファンの多い曲です。《第7番》や《第8番》と比べると起伏に乏しさも感じられるが、優れたヴァイオリニストの手にかかると一服の名画に時の流れを含んでいるような渋味に富んだ充実感が味わえる。落ち着いたムードが続いたので、終楽章は快活な対比になるかと思うのの裏をかいて伸びやかな変奏曲。
無料コンサート 上半期は、クライスラーのベートーヴェン、ソナタ全曲鑑賞会
昭和10年、4巻に分けた豪華なアルバムで発売されたクライスラーの演奏は、史上初になったベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲録音でした。無料コンサートの上半期は5回シリーズで全10曲を順番に鑑賞しましょう。一人の演奏家の全集を集中的に聴く良い期間にしてください。CDとSPレコードでの違いを見つける機会でもあります。 http://amzn.to/Ygny64