《バロックの森》ルイ15世時代の音楽⑥ ヴァイオリンはダンスのための楽器

いいね!

天使がヴァイオリンらしきものを携えている古い絵画や彫像が、幾らもあります。『らしきもの』とされているように、よくよく観ると違うよう。そもそもヴァイオリンは、いつ頃どういう経緯で誕生したのでしょう。結論を先に答えるならば根拠不明。音楽史の上でヴァイオリンの名手にして、今でも演奏される機会の多い重要な作曲家はコレルリ。ヴァイオリン音楽を芸術音楽として最初に記録されます。もしもヴァイオリン音楽を発展させるヴィヴァルディの存在がなかったとしたら、現在の認識以上に誰もが知った作曲家の名前になっていた事でしょう。

楽器を手にしている絵画としては女神が抱いているハープが最も古いもの。総ての楽器の発展の源にはハープがあります。これも現代のようなメカニックを持ったハープではなく、竪琴。もとは猟のための弓を遊び半分だったのか、魔除けのマジナイかかき鳴らしていた行為が音楽の根本だというのが音楽史のお勉強には出てきます。

さてヴァイオリンですが、1,500年半ばに唐突に登場します。ほぼ現代のヴァイオリンの構造をしている事は驚きですけれども、その形状や大きさは多様性を極めていました。バロック・ヴァイオリンと言われる古い楽器を観ていると昆虫を観ているような錯覚を感じます。バッタに似ていませんか。葉っぱに擬態できるナナフシに似ています。

ヴァイオリン音楽を芸術音楽として…と冒頭に言いましたけれども、ヴァイオリンはそもそも民衆の間で誕生した楽器でした。その為に教会などで使用されるようになるまで空白の期間があります。とすれば弓からヴァイオリンが着想されたのではなくて、鋤とか鍬とか農具に何か弦状のものを張って慣らしていたのが起こりではないかとは、わたしの勝手な考えですがどうでしょう。無謀でしょうか?

フィドルというヴァイオリンによく似た楽器があります。踊る時にあごで挟んで演奏したものですが、ギターやヴィオールだと抱えたり膝で挟んで演奏したりで踊るには向きません。小型にしたら肩にのせられるんじゃないか?そういう発想があったのでは?

バロックの森 -ルイ15世時代の音楽-(6)

関根敏子(番組案内:2011年1月22日土曜日、午前6時からNHK-FMで放送)
– ルイ15世時代の音楽 -(6)

「バイオリン・ソナタ集 第3巻の ソナタ 第7番 イ短調から
抜粋」ルクレール作曲
・第1楽章 (3分51秒)
・第3楽章 (3分53秒)
・第4楽章 (3分18秒)


(バイオリン)ジョン・ホロウェイ
(チェロ)ヤープ・テル・リンデン
(クラヴサン)ラルス・ウルリク・モルテンセン
<ECM NEW SERIES 476 6280> 放送で使用されたCD Sonatas

 

「2つのバイオリンのためのソナタ集 第2巻の
ソナタ 第1番 ロ短調から 第3楽章」ルクレール作曲 (4分16秒)


(バイオリン)パウル・エレーラ、戸田薫
<Enzo recordings EZCD-10009-10> 放送で使用されたCD ルクレール 二つのヴァイオリンのためのソナタ集 第2巻

 

「フルート・ソナタ集 第3巻から ソナタ 第2番 ロ短調」 ブラヴェ作曲 (7分48秒)


(フラウト・トラヴェルソ)フランク・トインス
(クラヴサン)エヴァルト・デメイエール
<Accent ACC23154> 放送で使用されたCD Blavet: Flute Music

 

「バイオリン・ソナタ集“ハーモニクス”作品4の
ソナタ 第1番 ロ短調から 抜粋」モンドンヴィル作曲
・第1楽章 (2分22秒)
・第2楽章 (2分27秒)
・第4楽章 (2分44秒)


(バイオリン)ヤープ・シュレーデル
(ヴィオール)フィリップ・フーロン
(クラヴサン)ロレンツォ・ギエルミ
<Mandala MAN4843> 放送で使用されたCD Baroque Violin in France

 

「フルート協奏曲 ニ長調」 ノード作曲 (10分24秒)


(演奏)カペラ・サヴァリア
(フラウト・トラヴェルソ、指揮)パール・ネーメト
<Hungaroton classic HCD31600> 放送で使用されたCD 6 Flutes Concertos

 

 

 

 

 

More from my site

  • 《バロックの森》ルイ15世時代の音楽⑤ マレの音楽はロック以上にロックしている。《バロックの森》ルイ15世時代の音楽⑤ マレの音楽はロック以上にロックしている。 楽器の博物館。或いは、古い楽器を鑑賞する機会があると長時間居ても飽きない。楽器の成り立ちと言っても笛の類は、土偶時代からって・・・こちらの方よりも、興味津々なのは弦楽器のはじまり。弦楽器のファミリーは現代ではヴァイオリンを中心に考えがちだけれども、チェロが最初のお父さん。それよりも大きいコントラバ […]
  • 古楽の楽しみ -18世紀中頃に活躍したイタリアの作曲家-(3)オペラの改革を偽名でトライ http://amzn.to/oee22E古楽の楽しみ -18世紀中頃に活躍したイタリアの作曲家-(3)オペラの改革を偽名でトライ http://amzn.to/oee22E 昭和の世には音楽学校の生徒は、流行歌を歌うことは禁止されていて吹き込みをするなんて以ての外。藤山一郎さんは小さい弟、妹たちのために流行歌手に成る事を選択。ミス・コロンビアと名乗った松原操なども、レコード会社との専属で作詞、作曲家たちが違うレコード会社の歌手に惚れてあえて歌って貰いたいと別名で提供し […]
  • [バロックの森]ルイ15世時代の音楽④ 聴き所は、ニケのダジャンクールの録音。[バロックの森]ルイ15世時代の音楽④ 聴き所は、ニケのダジャンクールの録音。 響板がオリジナルであれば、製作当時のチェンバロです。・・・と言うイタリア紀行番組が先日NHKのBSで放送されていました。メカニックが当時そのままならオリジナルだと思えていたので、確かにそうだと発見になりました。チェンバロには螺鈿細工のものやら、意匠が凝らされているモデルが多いので気持ちはついつい造 […]
  • 古楽のたのしみ バッハの音楽(1)奏者には厳しく聴く者にはこの上ない穏やかな時間をもたらすバッハ珠玉の《トリオ・ソナタ》 – NHK-FM 2011-09-12古楽のたのしみ バッハの音楽(1)奏者には厳しく聴く者にはこの上ない穏やかな時間をもたらすバッハ珠玉の《トリオ・ソナタ》 – NHK-FM 2011-09-12 秋本番。熊本の午後いっぱいは、まだまだ気持ちがだらけるように気温が高かった日曜日。デスクワークも遅々と進まなかったものの、夕方過ぎて涼しく過ごしやすくなりました。もう、朝6時だというのに外はやや白々とし始めようとしています。カラスが遠くで朝の挨拶を交わしているけれども、秋の虫が賑やか。今夜は中秋の […]
  • バロックの森 -ヴィヴァルディの音楽-(1)バロックの森 -ヴィヴァルディの音楽-(1) ヴィヴァルディって何もの!!って思う向きには、今週の「バロックの森」のプログラムはもってこいです。月曜日から土曜日までの6日間で、ヴィヴァルディ検定(あったらの話しですけど、そのうち可能性もありそう)の初級クラスはマスターできます。20曲ほどが放送されますけれども、それぞれに使用されるCDも吟味さ […]
  • 古楽の愉しみ ホルンの魅力古楽の愉しみ ホルンの魅力 中世、狩りをするときに馬上で角笛を吹いて、後方との連絡をした。この角笛がホルンの起こりです。管楽器の中でベルと呼ばれるラッパが後方を向いている唯一の存在です。このベルに握りこぶしを入れて出す強弱と、唇で出す音程は一様でないふくよかさが演奏者の個性でホルンという楽器に魅了される大きなポイントです。 […]
  • 無料コンサート 蓄音器を楽しむ会(第3回)ご案内無料コンサート 蓄音器を楽しむ会(第3回)ご案内 蓄音器を楽しむ会(第3回)コンサートのご案内 日時 : 平成25年6月23日(第4日曜日) 午後 1 時 30 分より 場所 : 熊本中央区細工町2丁目 五福公民館 中会議室 ( 2 階 […]
  • バロックの森 -ケルルの作品- NHK-FMバロックの森 -ケルルの作品- NHK-FM 音楽的にはムファットやフローベルガーと共通したところがあって「カノン」で知られるパッヘルベルの音楽には最もケルルの影響が聴かれると言われています。著名な教師でもあったことから、ほとんどの作品が出版されバッハやヘンデルも研究していたほどなのに8人の子どもからは1人として音楽家になっていない理由は不思 […]

About amadeusrecord

ローカルのケーブル放送局で音楽番組編成と、番組作成を担当。必要とあれば音響の確認に工事スタッフと一緒に店舗まわりもしました。その際、地域の音楽愛好家と交流。老舗レコードショップから通販サイトを手伝ってほしいと参加したのがWordPressサイト作りの足がかりとなりました。