ズンズン攻めないテクニシャン★ゲオルグ・ショルティ/ロンドン・フィル ホルスト 惑星

英国音楽としての矜持を重んじ、剛柔のバランスと天体の調和を描き出す。

通販レコードのご案内GB DECCA SET628 ショルティ ロンドン・フィル ホルスト・惑星

ショルティ(1912~97年)唯一の《惑星》録音。

GB DEC SET628 ショルティ・ロンドンフィル ホルスト・惑星
爆走する重戦車のような迫力でシカゴ響だったら聴かせてくれたんじゃないかと、何故に手兵を使わないであえてロンドン・フィルで録音したのだろうと当時話題と成った《惑星》のレコードです。同じ1978年に老匠も同じオーケストラで録音しているので、同じ土俵でのオーケストラの反応の違いを楽しむのにもってこい。
 ハンガリー出身のショルティは、1971年に「Sir」の称号をもらいイギリスに帰化した。13歳の時、コンサートで聞いたエーリヒ・クライバー指揮のベートーヴェン・交響曲第5番の演奏に感動して指揮者を目指すこととなる。24歳になって、ザルツブルク音楽祭のリハーサルのためのピアニストに欠員が出たためショルティに声がかかったが、これがトスカニーニの目にとまり、同年と翌年のザルツブルク音楽祭のトスカニーニの助手を務めることとなる。指揮者デビューは26歳のとき、ブダペスト歌劇場での『フィガロの結婚』だった。ナチス・ドイツによるオーストリア併合された日のことで、ぶっつけ本番であった。ジュネーブ国際コンクールのピアノ部門で優勝し、ピアニストとしてデビューするも、非ナチ化の影響で多くのドイツ人指揮者が失脚していた、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場の音楽監督に抜擢される。
 レコード・デビューはピアニストとして。戦後、リヒャルト・シュトラウスと会う機会を得て、彼の作品の指揮について指導を受けている幸運もあり、サンフランシスコ歌劇場にて『エレクトラ』の指揮でアメリカデビュー。その機会にシカゴ交響楽団と初めて共演している。レコード・ファンにはその後、有名になる。1958年から始まったウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との世界初のステレオ録音による全曲録音『ニーベルングの指環』、指揮者としての評価を国際的に著しく高める。シカゴ交響楽団らとのレコードで、『グラミー賞』を31回受賞しており、受賞数、ノミネート数ともに世界一である。
 同じ称号を持っている指揮者、サー・エイドリアン・ボールトが奇しくも同じ1978年に5回目のレコードを発売しています。オーケストラもロンドン・フィルですが、こちらがショーピースのようなオーケストラ演奏の醍醐味を味あわせてくれる。
 じっくり腰を据えたボールドの演奏に対して、さらりとしている。焦らされて、まだかと待ち焦がれる受け手。それは意外なことだった。サーの称号をもらっているから、英国音楽界の重鎮だった作曲家への感謝だったのでしょうか。それにショルティの持ち味とも言え、恐らくシカゴ響だったら、と期待して聴いた人ほどに感じちゃうでしょう。
 しかし、全体の演奏時間は、ショルティが長い。「火星」は一気呵成、最速クラスで。「木星」はもったいつけた歌いまわしはない、快速だが、「土星」と「海王星」でたっぷり時間をかけている。「火星」の終結で響くオルガン、「土星」「天王星」のブラスの効果はロンドン・フィルの魅力を引き立たせて聴かせる。サーに選んでくれてありがとうという幸福感。この曲に詰まっている、〝自国愛に〟、幼いときからナチスに影響を受けてきた人生の、落ち着き先を得た思いを投影しているのか。
 録音はロンドン、キングスウェイホールでのセッション。アナログ末期、ケネス・ウィルキンソンらしいダイナミックで低域の威力も感じさせる優秀録音。

販売レコードのカバー、レーベル写真

  • GB DEC SET628 ショルティ・ロンドンフィル ホルスト・惑星
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プロダクト

品番34-22986
レコード番号SET628
作曲家グスターヴ・ホルスト
指揮者 ゲオルグ・ショルティ
オーケストラ ロンドンフィルハーモニー管弦楽団
録音種別STEREO
ジャケット状態M-
レコード状態M-
製盤国GB(イギリス)盤
録音年1978年2月、ロンドン・キングスウェイ・ホール。
プロデューサージェームズ・マリンソン
録音エンジニアアンドリュー・ピンダー、ケネス・ウィルキンソン
カルテ(管弦楽)ED4英国初出, 1979 2G/1G初期スタンパー。英国本国では1〜3までは初期スタンパーと呼ばれ音が良いと評判でコレクターアイテムとなっています。4〜6は中期、それ以降は後期と再発重ねて参ります。

通販レコード

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  • オーダー番号34-22986
  • 販売価格5,500円(税込)

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JP LON SLA1186 ショルティ・ロンドンフィル ホルスト・…

 このレコードは日本では横尾忠則デザインで発売されました。ポスターもついていました。
 代わり映えのしないクラシックのレコード・カバーの中にあって、横尾忠則に表紙、裏絵とポスターを独自に発注した当時の日本のレコード会社の着眼点が面白い。ライナーノーツは諸井誠によるもので、中央部分にはショルティ自身から日本のリスナーに向けた「惑星」の解説付き。すでにこの時点で10数種のLPがリリースされているので日本人にとって「惑星」が珍しかったわけでもないだろうし。ショルティの楽曲解説からは曲への思い入れを感じる。日本盤の発売元がキングレコードだったことに納得できよう。
 演奏はショルティらしく変化球なしの真っ向勝負という感じ。飾っておきたくなるようなレコード・ジャケットだったにもかかわらず『その録音を聞いたわけでなく、恐らくオファーを受けて印象で描かれたんじゃないかな。ショルティの『惑星』には似合ってない着心地の落ち着かないイメージです。』といわれようもある思い込みによる如き、呆れるような勘違いもされやすい、デザインのコンセプトにもなっているのだろう「火星」のテンポはかなり速く感じるが実際の演奏時間が極端に短いわけではない。諸井誠の解説にもあるが、他の指揮者であれば一瞬ためて演出する部分をインテンポで演奏するので結果として非常にスピーディに感じる。
 ロンドン・フィルの演奏はシカゴ響に比べて多少軽量級だが、技術的には完璧である。キングズウェイ・ホールで収録された録音もプロデューサーがウィルキンソンでもあり不満は感じない。ショルティ盤の登場を受ける形で本家英国録音で、この曲の初演指揮者であり、最高の解釈と演奏を常に展開してきたエードリアン・ボールトがついに行き着いた最高の『惑星』こそが「極め付き」として登場しますが、1978年にたどり着いた名演は雄大なスケールと豊かな陰影が見事に絡み合う。どちらも正論で両者はただ、レコーディングのアプローチが異なるのでしょう。スコアに忠実かどうかは二の次、結果として出来上がった音楽がどう聴こえるかの方がはるかに大事。本盤でのショルティは、英国の作品に対して紳士な態度で臨んでいる。その点でもこの演奏はおそらく誰が聴いても十分楽しめる ― ものとしての ― 名演名盤だ。

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