手巻き式蓄音器 VICTOROLA での再生。2,3分の間隔でカチンカチンと金属音がするのはゼンマイが解ける音です。
SPレコード・コンサートの会場での録音ですので途中鑑賞者の物音、咳払いが聞こえます。
鑑賞会に参加して頂いた人数は50人ほどいらっしゃいましたけれども、皆さん集中されていて極めて良い環境の中で録音できました。盤面を替える時に咳払いされたり溜息つかれたり、レコードコンサートだというのに実際の演奏会に向かわれているようでした。
市政便りの告知を観て、これは聴かなければと予定をやりくっての来場者もありました。
それほど演奏自体が良い。そして盤質がとにかく良い。極上の保存状態と太鼓判が押せる。
1937年録音の《ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調》と言えばパブロ・カザルスのチェロ独奏、ジョージ・セル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のSP録音盤。
昭和13年頃の発売になる日本ヴィクター盤。
盤に傷は無く、シェラック盤固有のノイズも極めて良好。市政便りの告知を観て、これは聴かなければと予定をやりくっての来場者もありました。
研修室という音響環境が悪い中でも、ダイナミックレンジの広い奥行きのある良い録音です。SPレコード時代の最上の録音に屈指出来るでしょう。
CD は http://amzn.to/q2nnl0 として出ています。少なくとも Naxos 盤のブツブツとした音質よりは優良。セルの音楽は無味乾燥だと言われますが、日本に限っての事のようです。そう思って日本盤の CD を聴くと確かにカザルスのチェロばかりが大きく聴こえる様にしてあるみたいです。
確かにこの《チェロ協奏曲》の勘所は独奏チェロなのですけれども、独奏チェロが登場するまでの第1面の前半のほとんどホルンの歌わせかたは魅力的です。
テンポも緩ませたり緊張感を高めたり。中間のしっとりとした独奏に先立つ弦楽器の密度の濃い優しさ。あぁ、チェコ・フィルなんだなぁって音だけで分かる。復刻 LP、CD では感じ損ねている音だと痛感するようです。
チェロ: | パブロ・カザルス | |
指揮: | ジョージ・セル | |
管弦楽: | チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 | |
録音: | 1937年4月28日、プラハ録音 | |
再生盤 | 日本ビクター盤 JAS-675 JD-1187,1188 |
wavファイルで高品位鑑賞もできます。御希望頂けば用意いたします。