砂の人

♪月の光に花も草も

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明治38年に「女学唱歌』の第一巻に、『秋漁』という題名でブラームスの《眠りの精》は最初に紹介されました。この時は歌われることが然程(さほど)無かったようですね。
大正14年に堀内敬三の日本語詩で紹介されてから親しまれるようになりました。SPレコードで広く聴かれるようになったのでしょう。

堀内 敬三:詩、ブラームス,ドイツ民謡。竹久夢二:絵。小鳩くるみ:歌。

” Sandmännchen ” aus ” Volkskinderlieder “

「眠りの精(砂の精)」は、ブラームスの編曲による「14の子どものための民謡集」の4番目の曲です。20歳の頃の作曲で、その動機は母親思いだった作曲家が記憶に遺すための作品だったかもしれません。

1858年頃から書きためられた曲をまとめた「14の子どものための民謡集」は、ブラームスと親しい関係にあったシューマンの死後に、ブラームスがその子供達のために贈るために作曲しました。メロディ作りには苦労していたブラームスですが民謡の旋律を借りても、その音楽にはオリジナル曲と言っても相応しいブラームスらしい美しさがあります。

眠りの精
月の光に 花も草も
夢を追いつつ うなじたれぬ
声をばひそめて 枝はさやぐ
眠れ眠れ 眠れ我が児よ
小鳥たのしき 歌をやめて
小さき臥床を したいゆきぬ
野辺には虫の音 独り告ぐる
眠れ眠れ 眠れ我が児よ
眠らぬ児らを もとめつつぞ
眠りの精は 訪い来ん
あやしきその手の 見えぬひまに
眠れ眠れ 眠れ我が児よ

早く目を(つぶ)らないと砂男がやってくる

ドイツでは、詩人フリートリッヒ・シュペー作詞による「ベツレヘムに生まれたもう」としてクリスマスキャロルの定番となってもいます。

ちなみに、砂の精とは、夜に子供達の目に砂をかけて眠らせてしまう妖精のこと。夜遅くまで眠らないでいる子供がいると、大きな袋に砂を詰め、それを背負った人がやって来て目を開いている子どもたちに砂を振りかけるという。

ドイツの作曲家フンパーディンク( Engelbert Humperdinck / 1854-1921 )のメルヘンオペラ「ヘンゼルとグレーテル」の中にも登場します。
この物語では、日が沈みかけた森の中でイチゴを積み終えたヘンゼルとグレーテルに魔法の砂をかけて二人を眠らせてしまいます。子供向けのイベントや、リサイタルに単独で歌われる機会の多い、ドイツ・オペラの有名なシーンの1つに数えられます。

夜遅くに口笛を吹くと蛇が来る、とかナマハゲやお化けが来ると昔は寝かしつけたけれど。昨今の子供にはゾンビが来るぞって方が効果が有るだろう。

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