初期のデジタル録音を現在聞き返すと、昔の録音は結構エネルギー感と音の厚味があったんだと思わされます。マスタリングする時のビットレートによると思われますが、これもそのような一枚。全体の輪郭が鮮明で、わずかに硬質な弦楽器と管楽器のバランスは、違和感なく楽しめるようにとエンジニアがアナログの特長を受け継ごうとした工夫を感じます。それはドイツ・グラモフォンの録音史でデジタル録音の第一番目にあげられることが多いことからも、よほど慎重に準備されたことでしょう。
アバドが両手を広げて、躍動的に指揮をしているおなじみのジャケットとはデザインが異なる。インターナショナル盤ではなく、ドイツ盤です。
- レーベル
- DEUTSCHE GRAMMOPHON
- レコード番号
- 2560110
- 曲目
- ハンガリー舞曲 全曲
- 作曲家
- ブラームス
- 指揮
- クラウディオ・アバド
- 管弦楽
- ウィーン・フィル
- 初版ラベル
- ブルー・リング・ラベル
- 録音年
- 1983年
- 録音種別
- デジタル録音
- 製盤国
- ドイツ
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クラウディオ・アバドが現在の巨匠となる踏み台であり、デジタル録音の飛躍の決定打となったレコード。日本盤は随分と売れたと思います。21曲をLPレコード両面に収めたことでも、カッティングの面でも意欲的な仕事だったでしょう。そういった所でデジタル録音の出世作とみていいでしょう。
『ハンガリー舞曲集』は、ブラームスにとって出世作となった曲です。しかし奥ゆかしいのか、顔に似合わずシャイなのか。クララとの恋愛にも感じられるように、律儀な正確だったのでしょう。ハンガリーの民謡から主題を得ているからと、作品番号をつけていません。しかし実際、ほとんどブラームスの創作旋律であり、リズムやハーモニーのインスピレーションを土地から得たと言えそう。ハンガリーの酒場通りを巡りながら、客の求めに応じた即興演奏を楽譜の端にでも書き付けた音楽を元にしていそうだ。そんなこと決めつけたら、渋い表情をしそうなブラームスが亡くなった日が、4月3日です。( 出世作★アバド ブラームス:ハンガリー舞曲 全曲 http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e121886.html )