どちらも同じヴァイオリニストであるとは、聞けばすぐに分かるぐらい。40年近い開きはあるので1991年のコンチェルトでは多少張りにかけるヴァイオリンの響きでしたが、そのヴァイオリンの歌い方は同じでした。これだけ性格の出ているヴァイオリニストは特別でしょう。プログラムの中間のリサイタルの音はとても良くて、60年も前の録音だとは驚きです。そして、レコードとライヴがこれほど相違がないことも人気の程が感じられました。
Wanda Wilkomirska
1. Bacewicz – Violin Concerto No.5
Wanda Wilkomirska – violin
Warsaw Philharmonic Symphony Orchestra,
Witold Rowicki – conductor
Recorded 17.01.1955, Live, Warsaw
2. Suchoň – Sonatina
3. Saint-Saens – Introduction and Rondo Capriccioso in A minor, Op. 28
4. Ravel
5. Bartok – Three Songs
6. Musorgsky – Gopak
7. Szymanowski – Pesn
Wanda Wilkomirska – violin
Yadviga Shamatulska – piano
Recorded 18.10.1955, Live, Warsaw
8. Szymanowski – Violin Concerto No.1
Wanda Wilkomirska – violin
Polish National Radio Symphony Orchestra, Katowice
Antoni Wit – conductor
Recorded 1991, Katowice, Live
————————
From the archives of the Polish Radio
Radio Orpfeus
The post ワンダ・ウィウコミルスカの放送音源を入手 first appeared on Classical Notes.]]>ヴェーゲラーは言っている、彼が知る限りにおいてベートーヴェンは絶え間なく恋愛の熱情に掴まれていた、と。
これらの恋愛は常に極めて純潔なものであったようです。純潔の恋愛といっても、取り違えないで欲しい。情熱と逸楽との間には何の関係もない。モーツァルトが『ドン・ジョヴァンニ』を書いた時、ベートーヴェンは『天才を濫用した』といって赦さなかったそうだ。
そんな人だったから、恋に落ちた時のベートーヴェンは厄介なのだ。彼の親友だったシンドラーは『彼は一種の処女的なハニカミを持って生涯を過ごし、弱点に負けて自己を責めるような羽目に陥ることはなかった』と解説している。時を重ね、ベートーヴェンの天性の激しさがやがて憂鬱を帯びた諦めの静かさに行き着く年齢に達する時までは、ボッティチェリの描いた『聖家族』の中の、幼児キリストの目の輝きを持っていた。
モーツァルトが喜ばれる今日の人々と比べれば、稀有なものがベートーヴェンの魂の中にはあった。そう言う彼の音楽にこそ、誰しも同じ気持を感じるでしょう。時代も国も価値観も違うのに、ベートーヴェンの感じたものに夢中になれる。こうした感動の共有が彼の音楽の最も特徴的なところ。
ベートーヴェンの耳の病は、話が聞き取れないで筆談をしてる相手の後ろでピアノを弾いていた弟子に、「そこはおかしい」と注意したと言います。対話をしようとしていた相手は気分を害したことでしょう。また、ピアノに噛み付いて音を聞いていたと言うから居合わせた人はとんでもないのを見てしまったと怖がったことでしょう。(耳硬化症)
《ヴァイオリン・ソナタ》第5番と第6番の間には、かの《月光ソナタ》作品27が作曲されます。この《月光ソナタ》は“不滅の恋人”に捧げています。『僕の生活は今までよりも優しみのあるものになった』とヴェーゲラーに手紙で打ち明けています。そして『僕はいっそう人々に馴染むようになった』とも書いていますが、病身の惨めさと、不安定な生活状態に痛感している。この恋心とそれへの誇らしい反抗との交互作用の中で、ベートーベンは霊感の源泉を見い出して喜びにあふれた、生き生きとした曲をこの時期には作曲しています。
The post 僕は全世界を抱きしめるだろうに! first appeared on Classical Notes.]]>幸福感に満ちた明るい曲想から《春》という愛称がついたのは、ベートーヴェンの死後のことです。曲は新緑の鮮やかさや頬を撫でる春風の心地よさがよく表現されていて、誰しも同じ気持を感じるでしょう。こうした感動の共有が彼の音楽の最も特徴的なところ。
曲の構成は3楽章から4楽章へと拡大され、展開部はより洗練され全体が統一感を感じさせる作品になっている。構想は《第4番》よりも早い時期のもので、セットで出版するつもりであったが製本上の理由で別々の作品番号で出版されることになった。《運命交響曲》、《皇帝協奏曲》と偶然にも5番に人気作が揃うこととなった。この現象は以降の作曲家に影響を与えていて、ロマン派の作曲家の《第5番》は豊かなメロディーを湛えた楽曲が集中している。
The post 僕の生活は今までよりも優しみのあるものになった – 快癒への望みを込めて書き上げられたヴァイオリン音楽の大名作。 first appeared on Classical Notes.]]>
ピアノソナタ第17番《テンペスト》作品31、交響曲第2番作品36が書かれた年に、第7番と第8番の3曲セットで作曲された。ロシア皇帝アレキサンダー1世に献呈されたが代金を払ってもらえず、後にウィーンに皇后エリザベートが訪れた時に支払ってもらっている。それは作曲から12年後の事だった。
しっとりと落ち着いた楽想が印象的な、隠れたファンの多い曲です。《第7番》や《第8番》と比べると起伏に乏しさも感じられるが、優れたヴァイオリニストの手にかかると一服の名画に時の流れを含んでいるような渋味に富んだ充実感が味わえる。
フリッツ・クライスラーとフランツ・ルップの名コンビは、1935年4月と翌年の二回のセッションで第1番から第10番までを、それぞれ一日、あるいは長くて三日間を費やしながら順番に録音。レコード史上初のベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集録音という偉業が達成されます。発売は翌年、SP盤27枚は豪華な装丁のアルバムとして4巻分札で発売。LPレコード時代の全集は4枚、CDでは3枚組ですが全10曲を集中的にレコーディングされたものは、ベートーヴェンの音楽が徹頭徹尾ゆるぎのない音楽性豊かなものであることを感じさせます。クライスラーの史上初の全集盤は、やがて80年経過するわけですが、今持って誇らしい存在は輝きを曇らせていません。
SPレコードは片面4分弱の再生時間が最長ですから、二面、三面分が必要な楽章もあります。現在、CDで聴くことが出来るオリジナルはLPレコード時代に解決されたことですが、CDとSPレコードでの違いを見つける機会でもあります。そこに注意しながら、半年間のシリーズとして全10曲を鑑賞し記録していきます。
The post 無料コンサート 上半期は、クライスラーのベートーヴェン、ソナタ全曲鑑賞会 first appeared on Classical Notes.]]>