時間を超えさせてくれるところに名曲の力を感じる ― チャイコフスキーの白鳥の湖から情景

第153回 きらクラ DON は、登場回数の多い!チャイコフスキー作曲、バレエ音楽「白鳥の湖」から《情景》の冒頭。

わたしを幼い時の情景を思い返させてくれる音楽が、チャイコフスキー作曲のバレエ音楽「白鳥の湖」からの《情景》です。冒頭のハープのきらびやかさはさざなみを表しているような弦楽器群とあいまって波しぶきに輝く光をイメージします。

チャイコフスキーは「白鳥の湖」、「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」の3つのバレエ名作を創出しました。それぞれが人気を決定させた曲、精力的だった時期、そして円熟の晩年の作品といったチャイコフスキーの作曲家としての歩みを追うことも出来るという面白さも有ります。

その三曲のうち、「くるみ割り人形」だけが作曲家自身の組曲が有りますが、他の2曲はチャイコフスキーの友人や、指揮者が任意に組曲に仕立て直している。そのためかどうもレコード、CD の演奏が印象に残りにくいいやらしさが有りますが、それでも《情景》のメロディーが聴こえてくると聞き耳をたてて聴いています。やはり「白鳥の湖」のヘソなのでしょう。

デパートで売っているオルゴールの蓋をあけると、今は J-Pops のヒット曲が聞こえて来るほどですが、わたしが子供の頃は大抵は「エリーゼのために」か、この曲がチンカラコンと鳴り出しました。

兄のオルゴールは「エリーゼの為に」で、兄の誕生祝いに親戚のおじさんから贈られたものでした。羨ましくって、当然わたしは欲しがりましたけれども、それは大切なモノだからと母が買ってくれたのが、グランドピアノの形をしたオルゴールでした。兄の木工細工のオルゴールの高級感には及びませんが、母としては精一杯だったのでしょう。

そして、その曲が「白鳥の湖」でした。どちらかが聞き出すと、兄妹競うようにオルゴールを鳴らしだすだろうからと、同じ曲じゃないようにしたのかもしれませんね。

今はチャイコフスキーのバレエ音楽では「眠れる森の美女」が最も良く聴いているのですが、《情景》には心揺れます。懐かしい気持ちと記憶を刺激してくれる。時間を超えさせてくれるところに名曲の力を感じます。

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