クリスマスに聴く古楽の嗜み

Man Playing The Flute, 1734

バッハのカンタータ第36番「喜びて舞い上がれ」や「天からくだって」によるカノン風変奏曲、コレルリの「クリスマス協奏曲」、グリニーの賛歌「日の出ずるところより」、そのほか様々な作曲家の作品。

クリスマスへのお誘い

「コラール前奏曲“恵み深いイエスよ、われらはここに集まり”BWV731」バッハ作曲
(3分08秒)
(演奏)カルテット・イタリアーノ・ディ・ヴィオーレ・ダ・ガンバ
<Winter&Winter 910 053-2>

カルテット・イタリアーノ・ディ・ヴィオラ・ダ・ガンバの「Preludi ai Corali」。クリスマスへの前奏という感じでしょうか。NHKでの表記は、ヴィオーレ・ダ・ガンバとなってました。新年用のコラール「古き年は過ぎ去りぬ」(「オルガン小曲集」)がメインのアルバムです。BWV614 に続き、同題の4声コラール(BWV288)が収録されており、全6節中、第1、第2、第6節がテルツ少年合唱団員によって歌われます。

素朴だけど独特な和声、華麗で甘やかな音楽。

「トッカータ ト長調 BuxWV165」 ブクステフーデ作曲
(5分04秒)
(チェンバロ)ラルス・ウルリク・モルテンセン
<NAXOS 8.570579>

ブクステフーデ(1637?-1707)と言えばオルガン作品ばかりが有名ですが、ハープシコードの作品もすばらしいものがたくさんあります。オルガンよりも各声部が聴きとり易いため、その複雑な対位法がよく理解できるのも嬉しいです。変奏曲でのモティーフ処理、そして組曲での各々の楽曲の統一性、これらを聴けば聴くほどにその完成度の高さに唸らざるを得ないでしょう。

大胆な幻想のほとばしり、ささやかな慰めが現代人の心を打つ

「2つのフルートのための二重奏曲 変ホ長調 FK.55」ウィルヘルム・フリーデマン・バッハ作曲
(10分02秒)
(フラウト・トラヴェルソ)バルトルド・クイケン
(フラウト・トラヴェルソ)マルク・アンタイ
<ACCENT ACC 9057>

あの「笛」の天才フランス・ブリュッヘンに「横笛(フルート)はバルトルド」と言わしめたフラウト・トラヴェルソの名手バルトルド・クイケンが、自筆譜や筆写譜を研究し尽くし、作品の読みとその解釈に満を持して取り組んだアルバムです。バッハの長男、ウィルヘルム・フリーデマンはモーツァルトに大きく影響を記しました。多様な音楽の魅力とありのままの美を率直に伝えるその演奏は、この作品の不滅の名盤としての価値を持ち続けています。

Six Duets For Two Flutes

クリスマス用のカンタータ

「カンタータ 第36番“喜びて舞い上がれ”BWV36」バッハ作曲
(28分25秒)
(ソプラノ)ナンシー・アージェンタ
(アルト)ペトラ・ラング
(テノール)アントニー・ロルフ・ジョンソン
(バス)オラフ・ベーア
(合唱)モンテヴェルディ合唱団
(演奏)イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
(指揮)ジョン・エリオット・ガーディナー
<ユニバーサル UCCA-1007>

バッハ没後250年を記念した企画シリーズ。ガーディナーが手兵を率い、バッハのカンタータ集を続々とリリース。20世紀から21世紀への贈り物となる新時代のカンタータ集の決定盤。

バッハのカンタータはアルファベット順に作品番号が付いているために、時節に応じた聴き方をしようと思うとリストを調べて音盤を選ぶ必要がありますがガーディナーのカンタータ集は基督教会の行事に合わせて曲がセレクトされているので実用的でもあります。ただ、企画がいくつかのレーベルに転々としたのが残念。

こちらの記事もどうぞ

  • 古楽の楽しみ – コレギウム・ムジクムの創設 現代西欧音楽のスタート地点2013年11月26日 古楽の楽しみ – コレギウム・ムジクムの創設 現代西欧音楽のスタート地点 バッハが市政にまで口を挟むような人でなく、バッハを監督していた上司が酒飲みでぐうたらでなかったらバロック音楽は遠くむかしに忘れ去られていたでしょう。 バッハが素晴らしい存在で、音楽も一点の濁りもなかったから今、音楽の手本となっていて影響を受けた作曲家の研究に及ぶことになったわけです。西洋クラシックは、元来教会と宮中の限定された所有物でしたからドイツとフランスでそれぞれ発展 […] Posted in Radio and Television, Review
  • 古楽の愉しみ ホルンの魅力2013年8月8日 古楽の愉しみ ホルンの魅力 中世、狩りをするときに馬上で角笛を吹いて、後方との連絡をした。この角笛がホルンの起こりです。管楽器の中でベルと呼ばれるラッパが後方を向いている唯一の存在です。このベルに握りこぶしを入れて出す強弱と、唇で出す音程は一様でないふくよかさが演奏者の個性でホルンという楽器に魅了される大きなポイントです。 […] Posted in blog, Review
  • 古楽の楽しみ ― 音楽はイギリスから海を渡ってドイツにやって来た2013年11月27日 古楽の楽しみ ― 音楽はイギリスから海を渡ってドイツにやって来た バッハも手本にした音楽。ファッシュの作品は残されているものが少ないですが、その音楽スタイルはバロック時代の曲であることを意識させないモーツァルトよりも新しさを感じられるものです。不覚にもイギリスは音楽後進国となったわけですが、ダウランドを生み出した英国の誇りは揺らぎません。 […] Posted in Radio and Television, Review
  • クリスマスに聴く古楽の嗜み(2)2013年12月24日 クリスマスに聴く古楽の嗜み(2) 今年も熊本白川教会のクリスマス・オルガン・コンサートが行われる日になりました。一年が無事すぎていくのを感じています。 […] Posted in blog
  • ナチュラル・トランペット作品集 – Vivarte シリーズのなかでも目立たないけど忘れがたくなる一枚になるだろう2013年9月29日 ナチュラル・トランペット作品集 – Vivarte シリーズのなかでも目立たないけど忘れがたくなる一枚になるだろう これは非常に素敵なアルバムだった。旅先に連れ出すのが良いだろう。ロマンティックな男女の旅の演出では無しに、気分転換のリフレッシュが出来る。ドライブや通勤途中の渋滞に聴くにも向いているだろう。ただ聞き入って青信号になって出遅れないで欲しい。愛聴盤になった。 使用しているトランペットは『ナチュラルトランペット』という、現代のピストン式トランペットではない。トランペットというと、ど […] Posted in Concert, Products, Review
  • バロックの森 ― バッハ一族の音楽(1)・・・バッハ、はじめました。2010年10月11日 バロックの森 ― バッハ一族の音楽(1)・・・バッハ、はじめました。 バッハが活躍した時代には300人のバッハ姓の音楽家が居ました。バッハはドイツ語で“小川”を意味しますから粉ひきの仕事とゆかりがあります。名前から後々にバッハを姓として名乗るようになったのでしょう。当時の音楽家として最高権威に就いたので数多くいるバッハ一族の中でも“J.S.バッハ”として格段特別に置かれているわけです。 […] Posted in blog, Radio and Television, Review