歌劇《椿姫》ハイライト 第2幕から プロヴァンスの海と大地

第2幕第1場(つづき)

神よ、力を与えてください!・・・『アルフレード、この手紙が届く頃には・・・』
ヴィオレッタはアルフレード宛の手紙を書いて召使のアンニーナに託します。
帰宅したアルフレードに、その手紙が届く頃にはヴィオレッタはもういません。
『ああ!」
手紙を読んで、雷に打たれたかのような嘆き声を上げるアルフレード。振り返ると父ジェルモンがいます。叫びながらアルフレードは父の胸の中に飛び込みます。

LaTraviata
「父さん!」
「息子よ!何を苦しんでいるんだ、涙を拭いなさい。そして、もう一度戻ってきておくれ。故郷の海と大地が待っている」。

プロヴァンスの海と大地を(シェーナとアリア) – Di Provenza il mar 3:35

GERMONT
Di Provenza il mar, il suol – chi dal cor ti cancello?
Al natio fulgente sol – qual destino ti furò?
Oh, rammenta pur nel duol – ch’ivi gioia a te brillò;
E che pace colà sol – su te splendere ancor può.
Dio mi guidò!
Ah! il tuo vecchio genitor – tu non sai quanto soffrì
Te lontano, di squallor il suo tetto si coprì
Ma se alfin ti trovo ancor, – se in me speme non fallì,
Se la voce dell’onor – in te appien non ammutì,
Dio m’esaudì!Né rispondi d’un padre all’affetto?

プロヴァンスの海と大地を、誰がお前の心から奪ったのだ?
故郷の輝かしい太陽から、いかなる運命がお前を奪った?
苦しいのなら思い出せ、そこでは喜びに包まれていたことを。
お前の平穏は、そこにだけあるということを。
神のお導きなのだ!
年老いた父親の苦しみを、お前は知らないだろう、お前が去ってから、家中が悲しみに覆われていた、だが、お前に会えたのだから、希望が潰えなかったのだから、お前の名誉の声が、まだ聞こえていたのだから、神はお聞き届けくださったのだ!

父親の愛情に応えてくれないのか?

第2幕第2場

父親の願いどおりに故郷、プロヴァンスに変えるかと見えましたが、おっとどっこい。一波乱起こらなければメロドラマでも終われない。

アルフレードはテーブルの上に、フローラがヴィオレッタに出した招待状を見つけます。
「彼女はパーティーに行ったんだ!すぐにこの恥辱を晴らしに行くんだ!」

ヴィオレッタの女友達、フローラの屋敷。ちょうど仮面舞踏会が開かれている。
ヴィオレッタとあったアルフレードは復縁を迫るが、ジェルモンとの約束で真意を言えないヴィオレッタはドゥフォール男爵を愛していると心変わりを装います。アルフレードはそれに激高、借りは返したと札束をヴィオレッタに投げつける。自分の真意が伝わらず、みんなの面前で侮辱された彼女は気を失う。
一同がアルフレードを非難しているところに父ジェルモンが現れ、息子の行動を諌める。自分のやったことを恥じるアルフレードと、真相を言えない父ジェルモンの独白、アルフレードを思いやるヴィオレッタの独白、ヴィオレッタを思いやる皆の心境をうたい、ドゥフォール男爵はアルフレードに決闘を申し込んで第2幕を終わる。

Traviata AIX acte 2 tableau 2 2

アルフレード、アルフレード、この心の愛のすべてがあなたにはわからないのよ(フィナーレ) – Invitato a qui seguirmi – Ogni suo aver tal femmina – Di sprezzo degno se stesso rende 9:35

GERMONT
Di sprezzo degno se stesso rende
Chi pur nell’ira la donna offende.
Dov’è mio figlio? più non lo vedo:
In te più Alfredo – trovar non so.Io sol fra tanti so qual virtude
Di quella misera il sen racchiude
Io so che l’ama, che gli è fedele,
Eppur, crudele, – tacer dovrò!

自らを軽蔑に値させるのだ、怒りにかられたといえ、婦人を侮辱する者は。
私の息子はどこへ?見ることができない、お前の中に、アルフレードを見つけることが出来ない。

皆の中で私だけが知っている、彼女が胸に秘めた美徳を、私は知っている、彼女の誠実な愛を、だが、残酷にも黙っていなければ!

ALFREDO
Ah sì che feci! ne sento orrore.
Gelosa smania, deluso amore
Mi strazia l’alma più non ragiono.
Da lei perdono – più non avrò.
Volea fuggirla non ho potuto!
Dall’ira spinto son qui venuto!
Or che lo sdegno ho disfogato,
Me sciagurato! – rimorso n’ho.

私は何をしたのだ!恐ろしい。
嫉妬と失恋で魂が引き裂かれ、分別を失くした。
彼女に許してはもらえぬだろう。
彼女を避けようとしたが、出来なかった!
怒りに駆られてここへ来たのだ!
だが、怒りをぶちまけた今、僕はなんて惨めなんだ!自責の念にさいなまれる。

VIOLETTA
Alfredo, Alfredo, di questo core
Non puoi comprendere tutto l’amore;
Tu non conosci che fino a prezzo
Del tuo disprezzo – provato io l’ho!
Ma verrà giorno in che il saprai
Com’io t’amassi confesserai
Dio dai rimorsi ti salvi allora;
Io spenta ancora – pur t’amerò.

アルフレード、アルフレード、私の心の内、全ては愛のためだとは、貴方には理解できないわね、貴方はご存知ないわ、私の愛がこれほどとは、軽蔑を受けてまでも、その証明をするほどとは!
でも、分かる時が来るはずです、どれほど私の愛が深かったのか。
その時は後悔の念から、神がお救いくださるように、私は死してなお、愛し続けます。

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