今日と明日の両日、熊本の老舗レコードショップ・ウッドストック、ウッドペッカーは金曜日から開催中の《第9回 九州ハイエンド・オーディオ・フェア(MAXAUDIO主催)》に参加中。中古アナログ盤を出品中です。
レコード録音の金字塔 長い伝統のオーケストラ、ウィーン・フィルの最初のレジェンドと成ったベートーヴェンの交響曲全曲録音。
Beethoven: Symphony No.9 Choral
Joan Sutherland, Marilyn Horne, James King, Matti Talvela, Vienna State Opera Chorus, Hans Schmidt-Isserstedt / Vienna Philharmonic Orchestra
ウィーン・フィルの柔らかくて美しい響き、最高の合唱。
ウィーン・フィルがステレオで最初に制作した、ベートーヴェンの交響曲全集となったシリーズの『合唱』。全集から『5番』と『8番』を組み合わせた1枚は、当時のレコ芸でレコード・アカデミー賞に輝いています。
録音は優秀。金管は輝かしい音色で独唱、合唱共に全く歪み感がない気持ちの良い音質です。
イッセルシュテットらしさを感じる、甘さのない男性的な表現ですがウィーン・フィルの艶やかな音色としなやかな表現を巧みに引き出しています。
録音セッション場所が、カルーショーの指輪で高名な ウィーンのソフィエンザール であることも我々コレクターにとって録音が素晴らしく嬉しい。ショルティの『ワルキューレ』が 1965 年の録音。テノールのジェームズ・キングは、『ワルキューレ』で大活躍していた。もっと聴きたかったから、ご褒美。
この録音現場を実見した人は、オーケストラのほうは、ただ黙々と、指揮と録音技師の指示に従う、といった態度に見えましたと語っていたという。しかし、結果として生まれた音盤は、1960年代のウィーン・フィルの良さを最も素直に出したものとして、今なお評価が高い孤高の名演としてコレクターの耳を満足させている。
そこにはホットな歌手が勢揃いしたことが大切で、『ワルキューレ』のキングの起用には、F=D氏を頼もうかという大冒険もあったとか。そうしたら、この『合唱』もソリストの顔ぶれが変わっていただろうか。この『合唱』が、セッション録音であったことを忘れて聴き惚れるほどに、ライヴの熱さを感じるのはソリスト面々の個性が良く出ているからだと思います。
『伝統的』とされるほど、イッセルシュテットという指揮者の音楽は演奏から伝わってこない。バランスが良くとれているのはよく感じられますが、演奏は遅いテンポでウィーン・フィルの柔らかくて美しい響きを最大限に活かしています。ソリストは自分の個性を披露。合唱は極めて優秀。カラヤンがベルリン・フィルとオペラを録音する時にも、合唱にはウィーン国立歌劇場合唱団を呼んでいたのが納得出来ました。
LPレコード情報
ノート
【交響曲】
- 曲目:
- 交響曲 No.9 《合唱》
- 作曲:
- ベートーヴェン
演奏
- ソプラノ:
- ジョーン・サザーランド
- コントラルト:
- マリリン・ホーン
- テノール:
- ジェームズ・キング
- バス:
- マッティ・タルヴィラ
- 合唱:
- ウィーン国立歌劇場合唱団
- 指揮:
- ハンス・シュミット=イッセルシュテット
- オーケストラ:
- ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
プロダクト
- レーベル:
- 英 DECCA
- レコード番号:
- SXL 6233
- ラベル:
- ラージ・ラベル、 ミゾ有り、 ED-2。
- 録音種別
- ステレオ
- 録音年
- 1965年12月、ウィーン・ソフィエンザール。
- フォーマット
- 1LP
コンディションと今回価格
- [R]
- NM
- [J]
- NM-
- 価格
- ¥8,000
LPレコードについてのお問い合わせは
クラシック専門アナログ初期盤LPレコード通販ガイド:ミゾ有★イッセルシュテット/ベートーヴェン:合唱こちらの記事もどうぞ
2016年6月9日 熊本地震を体験して、音楽の受け止め方が変容した。ベートーヴェンの田園には自然を畏敬して、受け入れ人生の謳歌に転ずることに気づいた喜びが有る。 熊本地震は断層がずれた大震災。じっくり音楽を聞く機会のないまま避難所で2か月を迎えようとしています。これが今後、名曲の捉え方を変容しそうです。演奏の解釈は指揮者に任せて、千の聞き方で良い。ベートーヴェンは川のせせらぎ、鳥のさえずりが聞こえなくなっても、雷雨に抗うこと無く共生している農夫の姿に希望の光を気付かされた、と。 […] Posted in blog, Radio and Television, Kiracla
2015年12月31日 心に染みる美しいフランスのエスプリ ― アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団 ショーソン・交響曲変ロ長調、フランク・交響詩「アイオリスの人々」 サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン」、フランクの交響曲ニ短調が好きならお薦めの名曲、作曲家40才の円熟期のフランス風エスプリに満ちた傑作です。この曲の魅力をアンセルメの指揮で十分に味わえます。特に第1楽章の終わりは魂の高揚を抑えられなくなる。その扇情的な誘惑はベートーヴェンとはまた違ったフランス音楽特有な作品です。 […] Posted in Products, Review, 通販レコード, recordsound
2015年2月8日 名演奏家ライブラリー チェロの巨匠 ミーシャ・マイスキー 番組で紹介するのは1930年代の録音初期から最近の録音まで。膨大な録音遺産に残された、今は亡き伝説の演奏家たちの名演奏や、現代を代表する名演奏家たちの若き日の録音などを、音楽評論家の諸石幸生さんが厳選、その回ごとに一人のアーティストに焦点をあてて放送しています。約2時間の番組枠で良くまとまっている選曲には毎週、勉強になっています。 […] Posted in Radio and Television
2015年1月15日 弾く事を心から楽しむ自然な演奏◉ジャクリーヌ・デュ=プレ、スティーヴン・ビショップ ベートーヴェン:チェロ・ソナタ No.3, 5, 2 天才は夭折する。表紙の幸せそうな写真から、42歳で生涯を閉じると誰が想像しただろうか。このレコードは若々しいデュ・プレ堪能できるとあって英国屈指のコレクターアイテムとなっています。彼女は激情系のチェリストとして認知されているが、本当の彼女のチェロは、弾く事を心から楽しむ、自然な演奏にあったのではないだろうかとふと感じました。 […] Posted in 通販レコード, recordsound
2013年7月23日 僕は全世界を抱きしめるだろうに! ベートーヴェンの耳の病は、話が聞き取れないで筆談をしてる相手の後ろでピアノを弾いていた弟子に、「そこはおかしい」と注意したと言います。対話をしようとしていた相手は気分を害したことでしょう。また、ピアノに噛み付いて音を聞いていたと言うから居合わせた人はとんでもないのを見てしまったと怖がったことでしょう。 […] Posted in blog, Review
2013年7月22日 僕の生活は今までよりも優しみのあるものになった – 快癒への望みを込めて書き上げられたヴァイオリン音楽の大名作。 幸福感に満ちた明るい曲想から《春》という愛称は、新緑の鮮やかさや頬を撫でる春風の心地よさがよく表現されていて、誰しも同じ気持を感じるでしょう。この時代も国も超えた感動の共有はベートーヴェンの音楽のもっともたるところ。
僕の生活は今までよりも優しみのあるものになった。この時、彼は《不滅の恋人》を思っていた。快癒への望みを込めて書き上げられたヴァイオリン音楽の大名作。 […] Posted in blog, Review